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くすのき製硯の下井昭竜山(下井百合昭)作、赤間紫金石墨床(あかましきんせき・ぼくしょう)です。 大きさは、長さ:115mm、幅:33mm、高さ:23mm、重さ:250gほどで、紙共箱付きです。「赤間紫金石」の刻印があり、筆跡から、下井昭竜山(下井百合昭)作とわかります。 この赤間紫金石ですが、チョコレート色の赤間紫雲石と薄緑色の層が、下のようにサンドイッチになっていて、表になる部分の斑紋もきれいで、大変良いものが手に入ったと喜んでいます。 この薄緑色の層は、岩手の紫雲石硯でも見られ、緑色だけの部分を使った硯も作られています。(「佐藤幸雄作・紫雲石硯」参照) 赤間紫金石(しきんせき)は、赤間石主流の紫雲石(しうんせき)の採れる西万倉の石ではなく、旧山陽町(現山陽小野田市)で採れる、縞模様のある青みや赤みを帯びた美しい石で、恐らく、今では、昭竜山さんだけが使用していると思われます。 硬い部分と柔らかい部分があるため彫るのに時間がかかり、現在は採石が困難なことから、あまり多くは作硯されていないようです。 班紋が美しいので、観賞用には良いようですが、鋒鋩が一定していないので、硯の実用という意味では、評価は、少し下がるようです。 紫金石硯 実は、この墨床は、オークションでは、「文鎮」と表記してあり、写真でも分かりづらかったのですが、届いたものを見て、墨床であることがわかり、しかも、珍しい「紫金石」の作品を手に入れることができて、うれしく思っています。 ★ 墨床とは? ★ 墨床(ぼくしょう)とは、すりかけの墨をのせておく台のことで、墨台ともいいます。周囲のものに墨がつかないようにするために使います。 この墨床のように墨を置くタイプと、乗せ掛けるタイプがあります。 素材は、陶器、石、金属、木などで出来ており、明や清の時代では、玉(ぎょく)や琥珀で作られたものが存在しています。 同質の素材で作られるものと、床板と台座が別々の素材で作られているものがあり、特に、中国では、ただ墨を置くだけの台としてではなく、美術工芸品としての地位を確立して、高価で細工の素晴らしいものがたくさんありますが、日本では、墨床の使用はあまり浸透していないようです。 (記 : 2013年12月27日)
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