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遠藤金吾作・雄勝硯

国の伝統的工芸品に指定されている雄勝硯(おがつすずり)で、遠藤金吾(えんどうきんご)作です。

雄勝硯









 

大きさは、幅:13cm、長さ:18cm、高さ:2.5cmで、栞付きです。

原石の形を生かし、大胆な造形と自然美に趣を置く、野面硯(のめんけん)の作品で、未使用品で、状態は良く、雄勝石特有の黒色で光沢があります。

雄勝石は、玄昌石(げんしょうせき)と呼ばれている、黒色硬質粘板岩(こくしょくこうしつねんばんがん)で、石質が中国の銘硯「端渓石(たんけいせき)」と「羅紋石(らもんせき)」の特徴を備え、黒または暗い藍色の滑らかな石肌を持ち、墨の色の出も良く、優美な感じを与えると言われています。

作者の遠藤金吾さんは、雄勝硯生産販売協同組合のHPの硯職人さんたちのリストの中にはなく、ネットで調べても、中々経歴がわからなかったので、雄勝硯生産販売協同組合に問い合わせてみました。

すると、「 お買い求めの雄勝硯の裏面に、金吾作と刻字がされているとの事ですが、 その硯の作者の遠藤金吾氏は、組合員として各方面で開催されていた物産展等において雄勝硯を販売しておりましたが、15〜6年前に、亡くなられております。」という返答を、千葉事務局長さんからいただきました。

お忙しい中、ご返答をいただき、どうもありがとうございました。お亡くなりになられているのは残念でしたが、「金吾作」の刻印が、遠藤金吾さんのものとわかり、また、1つ、日本の伝統的な工芸品を手に入れることが出来て、うれしく思っています。

雄勝硯の作り方 は、YouTubeの、「手仕事にっぽんー雄勝硯」に、大変詳しく説明されてあり、この硯も同様の方法で作られたものと思います。ご参照ください。

★ 雄勝硯 ★

雄勝硯は、宮城県石巻市雄勝町で、作られている硯で、その歴史は大変古く、1396年(室町時代)ごろ、硯浜(すずりはま)という地名が古文書に残っており、既にこの頃、石巻市内で硯石が産出されていたと伝えられています。応永の昔より名硯として賞美され、以来600年の歴史と伝統が受け継がれています。

近年、伊達正宗の墓から、硯箱が発見されましたが、その中に入っていたのは、雄勝硯だといわれています。また、二代忠宗公も、その巧みな技に感服し硯師を伊達藩に抱え、硯材を産する山に「お止め山(お留山)」と称し、一般の採石を許さなかったと言われています。

 露天掘り

 選別作業

雄勝硯は、この鋒鋩の荒さ、細さ、堅さ、柔らかさが丁度良いバランスになっていることや、女性の黒髪のような「つやとすべり」が特徴で人気があり、和硯の90%のシェアを誇っています。

しかしながら、雄勝硯の生産は、2011年3月の東日本大震災で、壊滅的なダメージを受け、生産が一時停止し、復興の途にあります。職人さんも2名が亡くなり、多くの職人さんが、雄勝を離れてしまいましたが、幸い、採石場は、高台にあったため、被災を免れていますので、600年の歴史を継承してもらいたいものだと思っています。(「雄勝硯、存亡の危機 」参照)

尚、震災後、3〜4万個あった雄勝硯の在庫のうち、約1万個が地域の人たちによって回収され、そのうち、売り物になる4000個は、販売され、半年後に、完売したそうです。

硯の需要は、IT化や、筆を使う文化が薄れたことなどにより、大きく落ち込んでいます。

そこで、雄勝硯生産販売協同組合では、雄勝石を、硯だけでなく、首都圏の料亭用の食器や、花器などの生産にも使い、それを梃子として、なんとか、雄勝硯の伝統を継承しようとされています。(写真出展:雄勝硯生産販売協同組合HP)

そういった事情から、今では、大変入手困難な硯になってしまった作家物の雄勝硯ですので、末永く、大切にしたいと思っています。
                                                (記 : 2013年9月2日)

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