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硯(すずり)のはなし

正体不明の蓋付き硯箱型硯(すずりばこがた すずり)です。

硯箱型硯









大きさは、幅: 約15.5cm 奥行き: 約23.5cm 高さ: 約4cm 重量:約2.7kgで、硯と硯箱一体型で、ネットで色々と調べましたが、見かけないスタイルで、珍品かな?と思い、購入しました。

唯一、見つけたのが、下の硯で、中国の清朝中期頃に作られた端渓石硯箱型硯です。もしかすると、私の硯も、このように木製の受台があったのかもしれませんね。



ただ、私の硯は、端渓石よりは、軟質で、粘板岩のような感じがしますし、細かな化粧細工も見られませんが、荒々しいのみの跡が、男らしくて豪快な作品だと思います。

年代、産地とも不明ですが、前所有者によって、大切に使い込まれているようですので、大切に保存したいと思っています。

★ 硯(すずり)とは ★

(すずり)とは、墨を水で磨り卸す為に使う、石・瓦等で作った文房具です。文房四宝(紙、筆、墨、硯)のなかで一番高価な道具で、消耗品ではなく、何代に渡っても、続けて使えるものですので、取得される時には、吟味して選ぶといいようです。

硯は、中国で、漢の時代(紀元前206年〜220年)頃に発明 され、当初は、陶器で作られていましたが、六朝時代(南北朝時代)(436年〜589年)頃から、でつくられ始めました。隋、唐の時代には、墨をする墨堂の周りに墨池がつけられるようになり、長方形で墨池と墨堂が前後に分かれている、現在の硯の形態は、五代から宋(そう)代にかけて出現しました。

日本へは、飛鳥(あすか)時代には、伝来 していたと考えられていますが、それは陶器製のもので、石製の硯は、11世紀(平安時代末期)頃から見られるようになりました。

硯の材質は、石、陶瓷(とうじ)、玉(ぎょく)、翡翠(ひすい)、瑪瑙(めのう)、水晶、象牙(ぞうげ)、銅、鉄、木、竹、漆、紙などでつくられますが、実用としては、石が主です。


                 有田焼源右衛門の磁器製の硯


                      瓦を利用した硯


                       翡翠製の硯


                     漆器製の硯

硯には、中国産の唐硯(とうけん)と、日本産の和硯(わけん)がありますが、日本には、中国の硯石をしのぐような材質のものは見当たらないようです。

中国硯のなかで、もっとも著名なものに、端渓硯(たんけいけん)と歙州(きゅうじゅう)がありますが、端渓硯は、紫色を基調にした美しい石で、石の中の淡緑色の斑点を「眼」(がん)という。鳥の眼のようなこの模様があって、人気が高くなっています。ただ、端渓は、硯の代名詞のようにいわれていますので、佳品も多くありますが、偽物も多いので、注意が必要です。

端渓硯
            端渓硯にある「眼」と呼ばれる斑点が特徴的

硯は、書道愛好家の間では、とても大切にされ、骨董としても楽しまれています。ただの用具だけではなく、文人墨客の憧れの的として、実用性と芸術性は両方とも要求され、鑑賞用としても、高い芸術的流価値を備えているものが作られました。

その中でも、特に美術的な価値があるもので、唐代から清代までにつくられ、美術工芸的価値の高い硯は、古名硯(こめいけん)と呼ばれています。

尚、「すずり」の語源は、平安中期の『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』に墨をする用具として須美須利(すみすり)と書かれており、「墨すり」→「すずり」が定着したという説が、有力のようです。

現代の硯は、石等を研磨し平たくしたもので、墨を磨る為に表面に細かく目を立たせたものを用います。

墨を溜める為の薄い窪みを、「(うみ)」(墨海(ぼっかい)、墨池(ぼくち)、硯沼、硯池などとも)、墨を磨る為の少し高い部分を、「(おか)」(陸・墨堂などとも)といいます。

使用後は、必ず墨が残らないようその日のうちに、水できれいに洗う必要があります。残った墨(宿墨)が固まって、硯に付着すると墨を磨るとき付着した墨が、新しい墨と混ざってしまい、墨色を悪くし、嫌な匂いがつくことがあるからです。

丘の部分の墨を磨る凹凸の部分を、鋒茫(ほうぽう)といいますが、墨をすっていると、鋒鋩が磨り減ってきますので、硯専用の研石(砥石)で、少しずつ水を入れながら墨を磨るように軽く削って、凹凸を維持することが必要です。

私は、墨を磨るのは、墨と硯の両方から、墨状のものが出てくると思っていて、一生懸命、硯を削り取るようにして、墨を磨っていましたが、そのやり方が誤りであることに、今日、気が付かされました。

結構、同じように思っている人もいるんじゃないでしょうか? 私だけかな?(笑)

★ 硯を選ぶ時のポイント ★

硯を選ぶ時は、水を硯の面に浸し、指で軽くなでて、鋒鋩が立っているのを確認したり、硯の面に指の爪を軽くあて上下左右に軽く動かしてみると、良い硯は爪が削れて跡が付きます。硯の面は美しいが、つるつるしてタイルのような物は硯の役目をしないそうです。

★ 硯に溜まった墨の落とし方 ★

私が買った硯も、使用後、きちんと洗っていないので、墨が残って、固まっています。

どうやったら、元の姿に戻せるのでしょう?

1.硯をいったん水中に三時間ほど浸してから、墨堂をスポンジで強くこすってみてください。

2.たいがい回復させることができます。たわし類はおすすめしません。

3.洗った硯は、陰干しし、乾かしてから箱に直しまます。(濡れたままだとカビが生える原因になります。)

一度カビが発生するとなかなかとれませんので、注意が必要です。その場合には、木炭やスポンジで繰り返し洗ってください。

★ 磨れにくくなった硯の手入れ法 ★
泥砥石
墨が磨れにくくなったということは、硯の鋒鋩の山そのものが磨滅してきているということです。そんな時は、泥砥石を用いて目立てをする必要があります。

You Tubeに、大変上手に説明してある動画がありますので、こちらをご参照ください。

硯の手入れ 硯に砥石をかける.mov 

http://www.youtube.com/watch?v=gJ1auk4dc0A

古代伊予銘砥」(泥砥石)を買って、赤間硯の墨堂の目立てをしてみました。その様子は、「泥砥石で墨堂を目立て!」にありますので、ご参照ください。


                      国産の泥砥石

 雄勝硯(おがつすずり) 存亡の危機 ★

日本産の硯である和硯(わけん)の中でも、宮城県石巻市の雄勝硯と、山口県宇部市の赤間は、国の伝統工芸品の指定を受けていますが、2011年3月の東日本大震災で、600年の伝統と技が生き、国内の90%のシェアを持つ雄勝硯の産地が、壊滅的な被害に会い、雄勝硯生産販売協同組合に所属する8事業所すべてが、建物や設備を津波で失い、12人の職人のうち、1人が行方不明となりました。

幸い、海抜400〜500メートルの場所にある採石場は生き残りましたが、採石場への道路が震災で壊れたままとなっているほか、石の加工設備の調達も課題になっています。

石の採掘業者も被災したため、組合では店舗とは別の仮設工場を設置し、採石から切断、研磨加工までを組合で運営することを検討しているいうことです。

また、後継者不足と、IT化による、硯の需要の落ち込み等の問題もあります。

首都圏の料亭などへの販売が好調な、雄勝石を食器に加工する新事業を梃子にして、原点である硯の伝統も守っていきたいということですが、伝統は、途切れると、復活させるのが大変ですので、がんばって欲しいですね。

追記 : 

翡翠窯陶房、野中春甫(のなか しゅんぽ)作、青白磁の陶硯(とうけん)を、手に入れることが出来ました。「野中春甫作・青白磁の陶硯」をご参照ください。



追記 2:

村上木彫堆朱(むらかみ きぼり ついしゅ)を思われる、漆硯(しっけん)を入手しました。「村上木彫堆朱の漆硯」をご参照ください。



追記 3:

雄勝硯と共に、国の伝統工芸品に指定されている、赤間関盛信作 の、赤間硯(あかますずり)を手に入れました。「赤間関盛信作・赤間硯」をご参照ください。

 

追記 4:

遠藤金吾作・雄勝硯(おがつすずり)を入手しました。「遠藤金吾作・雄勝硯」をご参照ください。



追記 5:

岩坂芳秀作・若田石硯(わかたいしすずり)を入手しました。「岩坂芳秀作・若田石硯」をご参照ください。

 

追記 6:

雨宮峯硯作・雨畑硯(あまはたすずり)を、入手しました。「雨宮峯硯作・雨畑硯」をご参照ください。



追記 7:

崎川羊堂作・紫雲紅渓石硯を入手しました。「崎川羊堂作・紅渓石硯」をご参照ください。

 

追記 8:

中島石真作・高田硯を入手しました。「中島石真作・高田硯」をご参照ください。



追記 9:

佐藤幸雄作・紫雲石硯を入手しました。「佐藤幸雄作・紫雲石硯」をご参照ください。

 

                                            (追記 : 2014年5月6日)

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