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タイのバンコクで買った壺

1999年に、タイのバンコクへ行った際に、骨董店で、見つけた黒色土器です。









大きさは、径:18cm、高さ:11cmほどで、骨董屋の店主は、アンコールワットからの出土品だと言っていました。

確かに、コロコロという音がして、壺の中に何かがあるので、ちょっとみたところ、土の固まったものが入っていますので、出土品ということは間違いないと思います。

タイでは、クメール王朝(カンボジア)時代に、クメール土器の影響を受けた黒彩陶を作っていましたので、それではないか?と思っています。そうすると、時代は、10〜13世紀頃のものということになりますね。

東南アジアでは、一般的に、陶磁器を作る技術はなく、野焼きによって土器を作っています。(ベトナム、タイ、ミャンマーの一部では、中国の技術による陶磁器が、作られていました。)(「セラドン焼の水滴」参照)

土器のままでは、水が漏れてしまいますので、水漏れを防ぐ為に、色々と考えたようで、土器が焼き上がって
まだ、熱いうちに、籾殻をこすりつけると、表面に薄い膜が出来て、水が漏れにくくなります。

その為、表面が、真っ黒になるので、黒色土器と呼んでいます。(日本においても、4世紀頃から、同様の方法で、黒色土器が作られています。)

粘土は、どこにでもあるものですから、それを成型して、焼き物にすることは、出来るのですが、その粘土の
中の成分が、ガラス質の物質へ変わり、水漏れを起こさないようにするには、焼き物を1250度以上の高温で焼く必要があります。(野焼きでは、700〜800度が限界です。)

その技術は、中国で開発され、日本には、平安中期に入ってきましたが、東南アジアには、一部にしか、伝わりませんでした。

その為、今でも、タイ・ベトナム以外の東南アジア、インドネシア等の国々では、昔ながらのこういった土器を作っています。

私は、ケンディと言われる、インドネシアの水入れを、現地で購入しましたが、何と、たったの50円程で、売っていました。結構りっぱなものですが、材料がタダとは言え、信じられないくらいの値段で売っていました。


  高さ60cm程のケンディで、何と50円程で買えました。
 (いなかの家では、まだこういった土器が、使われています。)

さて、上記の黒色土器ですが、売り子さん曰く、アンコールワットでの出土品だそうです。(アンコールワット
では、盗掘が頻繁に起こっています。下欄の「悲しきアンコール・ワット (集英社新書)」参照)

アンコールワットは、カンボジアにあるわけですから、「何故、アンコールワットのものが、バンコクにあるの?」と聞くと、まず、「アンコールワットは、元々タイ王国の一部である。」と・・・・・、次に、「カンボジアで売ると高く売れないから、いいものは、バンコクに集まる。」とのことでした。

なるほどと思う説明に、変に納得して、購入したのですが、値切って1万円くらいだったと記憶していますので、当時の現地の通貨を考えると、結構なお値段での購入だったと思っています。

また、写真では、結構、きれいに見えますが、買った時は、もっと土が付いていて、私が、きれいに拭き取った
という訳です。
                                              (記 : 2008年4月30日)
追記 :

黒色土器を検索していて、タイのバンチェン土器を、発見しました。(バンチェン遺跡は、1966年に発見された遺跡で、紀元前2200年頃の早期の刻線黒色土器から、紀元後2世紀頃までの2千数百年の間に製作された土器が、発見されています。)

奇しくも、私の買った黒色土器は、バンコクで買ったものですので、もしや?と思ったのですが、幾つかのものを見ましたが、同様の形状のものはありませんでしたし、年代も違う感じですので、バンチェン土器 ではないですね。(笑)

 バンチェン黒色土器(初期のもの)


          世界遺産のバンチェン遺跡にある彩色土器(後期のもの)

尚、現在も、同じ方法で、バンチェン遺跡の近くでは、模造品が、たくさん作られていますので、ご注意を!

なんせ、本物でしたら、紀元前のものですから、完品は、ほとんどありませんし、「なんでも鑑定団」で出品された本物の評価も、2品で、1.5万円だったそうです。

                     

                                             (追記 : 2010年5月3日)

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