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エピソードと共に、その起源や、特徴を、ご紹介しています。意外な場所に、
意外な、お宝があるものです。画像と共に、うんちくも、お楽しみください。 

景徳鎮窯?・青花扇形皿

タイ、バンコクで買ってきていただいた青花扇形皿です。











大きさは、長辺:20.5cm、短辺:16.5cm、高さ:2.5cmほどの、青花(染付け)の扇形をしている珍しいお皿です。

文様は、牡丹をモチーフにデザイン化したような感じですね。茎や葉の部分は、所謂、唐草文で、日本の有田焼にも影響を与えています。


同様の文様の壺で、
萬暦後期の壺  
出展:福縁堂HP 

タイには、「ブルー&ホワイト」という染付けの陶磁器がありますが、文様は、タイ風にアレンジして、「パイナップル」をデザイン化したものが多いのですが、この皿は、景徳鎮(けいとくちん)辺りから輸入された中国の民窯のもので、時代は、その文様から、明の時代の萬暦年間後期(17世紀前期)のものだと思います。

この時代のものは、変形ものが多く、厚さも増しており、高台に少し砂が付着しているものが多いということで、この皿の特徴と合致しています。

当時は、盛んに東南アジアや日本に、景徳鎮のものが輸出されており、日本では、茶人を中心に、とても人気があり、多くの作品が伝世していますが、この皿は、タイに輸出されたものが、伝世したものだと思われます。

タイの庶民の食器の多くは、「ブルー&ホワイト」で、大量生産していますので、値段も安いのですが、中国の文様とは異なり、タイ風の文様となっています。特に、下の皿のようなパイナップルをデザイン化した文様は、日本でも人気で、雑貨店が輸入して、販売しています。

 タイ染付け

ドイツのマイセン窯においても、中国の清時代の青花が模倣されて、ザクロが、たまねぎと勘違いされてデザイン化され、「ブルーオニオン」になっていますので、同じような感じですね。(「マイセンと柿右衛門」参照)

景徳鎮の民窯のものは、大量生産して、庶民の食器を作っていましたが、清の時代は、所謂、「鎖国」されていましたので、あまり国外に出回ることはありませんでした。そのため、諸外国には、清時代のものは少ないのですが、明後期は、日本、中国、東南アジアで、盛んに貿易がなされた時代で、陶磁器では、日本の有田焼(伊万里)、ベトナムの安南焼、中国の景徳鎮窯、タイのスワンカローク焼などが、国々を行き交っていましたので、インドネシアやフィリピンでも、それらの焼き物を見つけることも不思議ではなく、各国にその時代のものが多く伝世しています。





このお皿は、タイ・バンコク郊外で、露天商の、上の写真に写っているおばちゃんから買ったそうですが、タイのもの、中国のもの、手前の茶碗は、有田焼に見えます。こんなごちゃ混ぜの中から、良いものを選んでくれたと感心しています。私の友人は、「目利き」なのかもしれませんね。(笑)



この茶碗も、同じ露天商で買ったそうですが、こういった文様は、中国陶磁器には見られませんし、呉須の精製度も低いようですので、タイで作られた「ブルー&ホワイト」の初期のものではないか?と思います。

素性のわからないものから、良品を見つけ出すことは難しいことですが、それも、「また楽し」ですね。
                                                (記 : 2013年3月28日)

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