(注:2009年5月における記事です。その後、各社とも変更等がございますので、適宜ご確認ください。)
「逆日歩」とは、信用売りが、信用買いを上回った時に、株を貸してくれる人に支払う、貸し株料のことです。
貸し株料は、入札で決めるのですが、信用売りが過度に多い場合には、多額の貸し株料が、逆日歩として現れます。
しかし、いくら入札で決めるといっても、無制限ではなく、最高逆日歩というのが、決められていて、それ以上の逆日歩は、掛からないことになっています。(最高逆日歩の算定式は、「繋ぎ売りの活用方法」参照)
しかし、その最高逆日歩が、株主優待株の場合、権利付き最終売買日に発生することが多いのです。
クロスをしている方には、恐怖の逆日歩ですが、「何故、突然、権利付き最終売買日に、最高逆日歩が現れるのか?
」を、検証してみました。
下の表は、2008年の2月末権利確定銘柄のF&Aアクア(8008)の権利付き最終売買日近辺の信用残の動きの表です。
年月日 |
終値 |
出来高 |
信用売り |
信用買い |
信用残 |
2月22日 |
702 |
17,600 |
27,300 |
34,300 |
7,000 |
2月25日 |
715 |
181,100 |
135,400 |
3,800 |
-131,600 |
2月26日 |
687 |
78,100 |
135,400 |
3,800 |
-131,600 |
2月27日 |
703 |
34,600 |
33,100 |
22,900 |
-10,200 |
最終売買日の前日の2月22日には、信用買いが超過で、逆日歩は、発生しない状況でした。
しかし、権利付き最終売買日に、その状況は、一転します。
信用売りが一気に増えて、信用買いが一気に減っています。
2月25日の出来高が、181,100株で、前場と後場の寄り付きの出来高の合計が、114,500株ですので、
約65%が寄付きで出来ています。
この出来高のほとんどが、信用売りと現物買いをセットにして、株価の変動なく株主優待が取れる裏ワザ(通称:クロス)のためだと思われます。(「優待ゲット 裏ワザその1」参照)
また、信用買いの数量が、一気に減っているのは、信用で買っていた分を、現引きしたものだと思われます。
その結果、信用残が、マイナス131,100株となって、最高逆日歩が発生したと思われます。
また、権利落ち日以降に、信用売りの水準が、すぐに元に戻っていることからも、権利付き最終売買日の信用売りは、クロスのせいだと推測できます。
尚、信用残が、マイナスとなっても、すべて最高逆日歩が付くわけでは、ありません。F&Aアクアの場合には、90,000株程度が、最高逆日歩から逃れられる安全圏との分かれ目だったのでは?と推測しています。
このように、株主優待株に、しばしば発生する最高逆日歩のメカニズムは、
@ 権利付き最終売買日に、信用売りと現物買いが寄付きで、たくさん入る。
A それまで、信用で買っていた玉を、現引きして、権利を取る。
といった現象が見られる為に発生し、特に、発行株式数が少ない銘柄では、少しの信用売り残が多いだけでも、多額の逆日歩が発生するようです。
私の場合、最高逆日歩から逃れられる信用残を想定し、権利付き最終売買日の前場と後場の寄付きの出来高を、すべて、クロスとみなして、許容を超えるようだと、権利を取らずに決済して、逆日歩を逃れるようにしています。(「優待ゲット 裏ワザその4」参照)
2007年の12月の権利確定時には、CIJ(4826)と、岡部(5959)をクロスしていましたが、CIJは、想定より多かったので、決済して逃げましたが、結果は、逆日歩は付きませんでした。岡部は、想定内でしたので、権利を取り、こちらも逆日歩は、付きませんでした。
クロスは、逆日歩が発生すると、元も子もなくなるので、充分に注意が必要です。
尚、最高逆日歩の計算方法は、「繋ぎ売りの活用方法」で、説明していますので、ご参考にしてください。
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