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壺屋焼と琉球焼の論争

沖縄県の焼き物に、「壺屋焼」と「琉球焼」があるに、お気付きの方もおられると思います。

私も、どっちがどっち?と聞かれても、見た目だけでは判断できないものがたくさんあります。



このぐい呑みは、琉球焼末吉窯の島袋常一の作品です。しかし、箱書きには、壺屋焼と入っています。末吉窯は、壺屋にありますので、当然、壺屋焼と名乗っていいので、おかしくはないのですが、正しくは、「琉球焼」です。

日本の焼き物は、焼かれている土地の名前を使うのが、一般的です。益子で作っていれば、どんなものを焼いていも、「益子焼」です。同じように、飯能で作ってれば、「飯能焼」なのですが、伝統を重んじる方は、ただ、飯能で焼いているだけではダメで、伝統的な作風でないものを「飯能焼」とするのは、おかしいと言われる方もおられます。

壺屋焼と琉球焼の論争も、これと同じようなものですが、私は、伝統的であるかではなくて、お品の良し悪しで、判断するようにしていますので、当事者の方は、つまらぬ意地を張り合うのはいかがかと思います。

経緯を辿ると、まず、伝統工芸製品として、1974年に沖縄県が指定したのが「琉球焼」でした。当時、「県内の焼き物の総称」として、指定していました。ですから、沖縄で作られている焼き物は、すべて、「琉球焼」だったのです。

しかし、その翌年、壺屋陶器事業共同組合が設立され、1976年に、「壺屋焼」が、通産大臣より伝統的工芸品産業に指定されました。

この辺から、少しややこしくなってきて、1998年の見直しで、沖縄県は、「壺屋焼」と、「琉球焼」を県の指定伝統工芸製品としましたが、「壺屋焼」側は、伝統の浅い「琉球焼」を伝統工芸製品を認めるのはおかしいと、異議を唱えました。

それに対して、「琉球焼」とは、「何も組合の陶工だけとは限らず、技法や原料などを細かく制限し、沖縄の焼き物としてふさわしい条件付けをして、伝統工芸製品を認めたい」と、指定した観光文化局工芸産業課は、話しているようです。

琉球焼事業協同組合の仲村理事長は、「私たちに言わせれば残念なこと。沖縄県の窯業全体の振興を考えてほしい。県内の窯業者は150ほど。うち130業者が組合もつくれず野放しの状態だ。むしろ、壺屋の方で門戸を開き、県全体の振興へ先頭に立つべきだろう。」と話していることをみると、かなりの「壺屋焼」との軋轢があるような感じですね。(「琉球新聞該当ページ」参照)

その後、壺屋陶器事業共同組合は、他の陶器との差別化を図るため特許庁に出願し、平成20年6月13日に「壺屋焼」の地域団体商標の認定を受けました。「当組合が紹介するのは、300年以上の歴史ある技法と原料で作陶した経済産業省認定伝統的工芸品「壺屋焼」であります」ということで、壺屋陶器事業共同組合の組合員でない人の作品は、壺屋焼ではないと宣言したのです。

というわけで、今では、沖縄で焼かれる陶器のうち、壺屋陶器事業共同組合に所属している窯元のものだけが、「壺屋焼」と認められ、その他の焼き物は、「琉球焼」ということになるようです。

どこの世界にも、「元祖」、「本家」とか、「こちらが本物、あちらは、偽物」といった争いがありますが、ネームバリューでお品を判断するのではなく、作品の出来で、判断するようにしたいものですね。

壺屋焼尚、壺屋焼については、「壺屋焼の小壷」と、「壺屋焼の魚文ぐい呑み」に解説がありますので、ご参照ください。




 

 金城敏幸作 魚文ぐい呑み(壺屋焼)

琉球焼また、琉球焼については、「宮城勝臣作・琉球焼のぐい呑み」をご参照ください。





 宮城勝臣 作 じょうやちぐい呑み(琉球焼)
                                               (記 : 2010年9月23日)

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